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ナレッジマネジメントの推進力

 

Debra M. Amidon

ENTOVATION International創立者、チーフストラテジスト

 

10年ほど前に生まれたナレッジイノベーション(Knowledge Innovation)は、今や十分な認知を得て、考察するに足る段階に達している。この課題に取り組むあらゆる分野の専門家が、ナレッジを基盤とする経済に適した新しいマネジメント方法の確立や開発をめざしている。

 

この課題については過剰ともいえるほど多くの論文や本が書かれているが、詳しい解説書は、たとえあったとしても、まだ「作成作業中」の段階である。1950年代、アルフレッド・スローンは、ゼネラルモーターズに事業部制を導入した際に、大企業の経営にはどのような技術が必要なのかに関する明確で一貫した、簡潔なメッセージを発した。しかし今日では、コンピューター/通信技術の進歩とコラボレーションネットワークの価値の高まりに伴い、企業の競争力と優位性を高めるカギを握っているのは、人間の才能であることがはっきりしてきた。

 

いまや、あらゆる職能、分野、産業、地理的な場所を超えた(ナレッジマネジメントの)「実践コミュニティ」と呼ぶべきものが生まれつつある。これには教育/学習システム、経済/金融、品質管理/ベンチマーキング、人事、情報/インターネット技術、研究開発/イノベーション戦略などの各分野の理論家や実務家が参加している。「ナレッジマネジメントを通じた――営利であれ非営利であれ――事業(Enterprise)の変容」という共通のテーマに向かって、コンカレントエンジニアリング、俊敏な生産体制、リエンジニアリングなど、様々な先導的な試みが繰り広げられている。

 

米国で人工知能の理論を超えた「ナレッジ」をテーマに行われた最初の会議は、「21世紀に向けたナレッジアセット(知識資産)の管理」と題されたものであった。1987年に開催されたこの会議は、デジタル・エクイップメントとプルデュー大学の技術移転協会が主催したものである。第2回は「ナレッジプロダクティビティ(知識生産性)」に関する会議で、1992年4月にスチールケース・ノースアメリカとEDSの共催で行われ、第3回は産業研究所(Industrial Research InstituteIRI)の主催により、ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバーで開かれた。同じ時期、マッキンゼー&カンパニーはナレッジマネジメントの実践を開始した。1994年には、ストラテジック・リーダーシップフォーラムとアーンスト・ヤング・ビジネスイノベーションセンターの共催により、「ナレッジアドバンテージ専門家会議」が開かれた。このテーマに関しては、今年の秋だけでも大規模な会議が6つ開催され(うち3つは本論文で参考にした)、来年春にもいくつかが計画されている。

 

これらの共同作業により、いくつかの点が明らかになった。

 

  1. 知識に関する活動は広く拡大している。
  2. 知識が学習、知的資本、知的資産、知能、ノウハウ、洞察や知恵など、どのように定義されているにせよ、導き出される結論は同じである。それは「知識を適切にマネジしなければ、滅びる」ということである。産業界、教育界、政府による先進的な試みは、同じ問題、課題、機会に取り組んでいるのである。

     

  3. 測定不可能なものを測定しなければならない。
  4. 測定できなければ価値があるものとはみなされない。しかし、従来型の財務会計手法では、企業にとって最も重要な経営資源である知的能力を計算/測定することはできない。現行の測定手法では、人材は資産ではなく、債務または費用として扱われる。企業内の人的・社会的(人と人の相互作用的な)資本に対する必要な投資戦略を正当化するためのビジネスの具体例を明確に示さなければならない。

     

  5. 共同研究の基盤を確立しなければならない。
  6. 現在、経済におけるサービス機能やサービス業に関する研究はほとんど行われていない。サービス業は最も急速に成長している産業セクターであるにもかかわらず、サービス業には工業研究所に相当する機関がない。また、非製造業に対する政府の財政的支援は非常に少額で、業界団体もほとんどない。サービス業界が将来に向けて確固とした基盤を確立するためには、競争にとらわれない共同研究が不可欠であるのに、企業は自社の研究開発活動に個別に取り組んでいるのが実情である。

     

  7. イニシアチブは「ミドル・アップ・ダウン」方式で構築しなければならない。
  8. 伝統的な階層構造は一夜にして消えてしまうものではないため、経営には引き続きトップダウン方式のリーダーシップが不可欠である。一方、ネットワーク化された草の根の活動には、変化に対する洞察が備わっているが、このような変化の有効性を実証するのは、販売の現場に最も近い人々である。ところが、サービスの提供に最も近いこれらの人々は多くの場合、組織の中で権限を与えられていない。カナディアン・インペリアル・バンク・オブ・コマースのフーバート・セント・オングは、トップダウン方式とボトムアップ方式の両方のバランスをとり、それぞれの長所を組み合わせた戦略を「ミドル・アップ・ダウン」方式と表現している。

     

  9. 洞察が即座に集められている。
  10. 変化を現実として進んで受け容れる者にとって、障害の排除に時間を費やしている暇はない。将来を創造することの方がはるかに面白いからだ。それぞれの専門分野において、知恵者や未来派と評価される人々が事業運営の顧問として求められつつある。昨日までは理論であったことが、明日にはもう、ビジネスで生き残っていくための基本になるのである。リーダーたちが互いに他の分野の原則や方針を理解しようとする中で、分野間の相互作用による効果が累積していく。すでにこの研究分野は、さらなる普及と影響力の強化をめざしてベストプラクティスのベンチマーキングを行ってもおかしくないほど充分に成熟したものになっているのである。

     

  11. 実践方法には様々な形がある。
  12. 企業にはそれぞれ独自の企業文化があることから、どのようなタイトルやプログラムでイニシアチブをとるかは会社によって異なる。新しいタイトルは、新奇な言葉遣いから古い機能のラベル替えまで様々である。知識のパズルを組み立てる方法は数多くあるし、リーダーは、社内のどのレベル、職能、職階からも出現する可能性がある。

     

  13. ナレッジの管理機構は有用であるが、制限的なものであってはならない。
  14. 可変要素を細かく検討し、相互に関連づける上で、何らかの準拠枠は不可欠である。その一方で、多くの要素を探求することは、ビジネスの基本となる新しい可変要素や相互関連の特定につながる。準拠枠は、議論をまとめ、企業文化と多様な価値観を融合させる上で有効である。まだ誰も手をつけていない市場や、未だ明確に表出されていないニーズから生まれる新しいビジネスチャンスを活かして利益を得るために、プロセスは静的ではなく、動的なものでなければならない。

     

  15. 「集合体」の本質を理解し、活用しなければならない。
  16. 企業はいまや、サプライヤー、パートナー、提携先、顧客、ときには競争相手も加えた多数の利害関係者(Stakeholder)を包含するものと定義されるものとなった。このインフラストラクチャーは、進化する産業生態系と、利益を得て成長していくために注意深く構築された計画を組み合わせたものである。この組み合わせこそ最も大きな価値を有する。全体像をつかみながら、一方ではそれぞれの部分の相互の結びつきに注意を払わなければならないのである。

     

  17. 知識企業が有効に機能するためには技術が不可欠である――では、どうすればよいのか?
  18. コンピューターを利用した教育、人工知能、グループウェアの初期の利用に関する誤解に類似することであるが、支援的な技術の適切な役割に関する混乱が生じている。「生産性のパラドックス(逆説)」は、技術投資をしても、それに見合う経済リターンが得られない(行動の分離性)理由を説明してはいるが、理想的な技術の活かし方を示すものではない。このためには、相当の時間と多くの試行錯誤が必要である。

     

  19. ナレッジ現象はマネジするべきものであり、思わぬ発見に頼ってはならない。

システムは不完全なものであるかもしれないが、ある程度の影響力やコントロールは、まったくないよりはある方が望ましい。このことは、少し動かすと違う模様が見える万華鏡を思い浮かべると理解できる。しかし、方向性を大きく変えるような、避けることのできない予想外の力が加わることもある。経営とは、最大限の利益を得るための科学であり、技巧であると捉えるべきである。

 

結論

 

この数年間で、ナレッジマネジメントには大きな注目が集まるようになった。ビジネススクールでは、必要に迫られて学際的で先進的な試みが行われている。産業界の投資には、ナレッジマネジメントを意識しなければ起こり得なかった連携が生まれている。政府や行政機関もまた、消費者に対して、従来の業務を続ける中で少しずつ得られる改善の範囲では済まされないはるかに大きい成果を示すことを強いられている。リエンジニアリングと品質管理のための努力は、同時に行われた大規模なリストラクチャリングと共に成果をあげ、金銭的な実効をもたらしている。利害関係者の期待に応えるため、協力関係が必要となっている。

 

パラダイムの転換を図らなければならない。これを避けることはできないのである。将来の成功の基盤として知識に注目する新しい考え方は、広く受け容れられている。企業の利益に貢献する要素として、創造性が改めて評価されつつある。この新しい科学は純粋なものではないが、従来型の経営の方法論では容易に得ることができない識見をもたらすものである。実験がいたるところで行われ、人々は他人の成功や失敗だけでなく、自らの失敗からも学ぶことを求めている。

 

これまでに出席したすべての会議において、議論を発展させるための方法として、何らかの形の評価ツールが考案されていた。どれだけ体系的にそうしようとしているかという点では違っていても、どの会議でも、出席者から学ぼうとする姿勢が強く感じられた。一方この過程は、ひとつの旅であり、誰もその答を知らない、という認識が共有化されていた。これは学術界ではなく、コンサルティング会社でもなく、産業界で生まれた活動である。実際、出遅れた学術界やコンサルティング会社は、出現しつつある新しい経済における自らの役割を確保するために、巻き返しを図っている。ある出席者は次のようにコメントした。「大学は10年遅れ、コンサルティング会社は5年遅れている。産業界の人々がリアルタイムで将来を創造しようとしているのだ」。ナレッジをめぐる様々な動きは、組織がどのように誕生し、進化し、成熟し、滅亡または改革されるか、という基盤そのものを揺るがしている。またこれは、私たちがビジネスを展開する仕方、経済が発展し、社会が繁栄する仕組みにも抜本的な転換をもたらしているのである。

 

(199512)

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Japanese Translation Presented by Works Institute of Recruit Co., Ltd.

E-Mail: works@r.recruit.co.jp


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Last updated: 14 Dec 2000